2014年4月26日土曜日

ボルドーワイナリー巡り

さて、今回の一番の目的はもちろんボルドーのワイナリー巡り。
個人で予約して見学するのはハードルが高そうだったので、日本語でのツアーを申し込んだ。それでも5大シャトーと呼ばれる有名どころにはツアーでも中にはなかなか入れないようで、見学とテイスティングはその次の等級の中から2件実現することになった。有名シャトーは買い付けるプロの業者とか、ワイナリーを所有する関係者などだけがテイスティングに臨めるようだ。(もちろん例外有り)

葡萄畑
ツアーで回ったのはボルドーの中でもメドック地方をお願いしました。メドックだけでも1800軒くらいのワイナリーがあるそうで、辺り一面葡萄畑。これまでのワイナリーのイメージは小高い丘、とかナパバレーのような斜面にある葡萄畑だったのだが、ボルドーではほとんど平面に(いくらかの傾斜や凹凸はあるが)見渡す限りの葡萄畑であった。
また、ボルドーのワイナリーはテイスティングとか直接販売で商売をしようとしているところは看板などを見る限り、ほとんど無いようだった。

ワイナリーの葡萄はもちろん人の手で植えられているのでその後の作業がしやすいようにきっちりと等間隔に植えられていて整然としていてとても美しい。これもワイナリーを訪れる時の楽しみの一つ。

葡萄の木は接木して育てるのだが、だいたい35年くらい美味しい葡萄を作り、衰えてくると一旦畑を休ませてから新しい木を植えるそうだ。休ませている間は日本の田んぼでもやるようにレンゲのような花を植えてお花畑にして毒素を出して畑の養分を回復するそうだ。ワイナリーの作付けはそういった数十年単位での作付けをしている、ということのようだ。
今は春なのでもう葉っぱが生え始め、緑が多くなっていた。特に今年の春は早かったので例年よりも早く葉っぱが出て来ているそうだ。その後、葡萄の実は足元に出来、その上に葉っぱがおおい茂るように育てる。だいたい1本の木から1本分のワインができるそうなのでそのくらいの実が成ることになる。秋にはだいたい150cmくらいの高さまで育つそうだ。
冬の間は木や根っこをを寒さから守るために木の周りの土を盛り上げ(ソックスを履かせる、と言うらしい。面白い表現!)、この時期暖かくなった頃にその土を取り除く(ソックスを脱がせる)。そして葉っぱが出始める頃に足元にワイヤーを張ってそこに絡ませていくことで太陽の日を効率良く浴びるようにする。また霜が降りると葉っぱがカビにやられてしまうので防カビ剤を使うそうだ。
日本では輸入する際に防カビ剤を、という添加剤を気にした話があるが、この段階で既に防カビ剤は使われているので気にするような話ではないのであろう。
葉っぱの出方はまだ畑によってばらつきがありました

ワインが出来るまでの行程
シャトーでは収穫からワインができるまでの行程を説明していただきました。
ほとんど手作業で収穫した葡萄は選別も最初は手作業だがこのワイナリーでは一つ一つの実の出来具合を糖度計も使って自動で選別する機械が導入されている。ここではねられた実はゴミ箱行き、ということらしい。

- タンク -
次に葡萄の実から葡萄ジュースを取り出すわけだが、今はほとんどのワイナリーでステンレスのタンクが使われている。このタンクは温度コントロールできるようになっていて、2層構造や周りに螺旋状に冷媒が流れるようになって温度管理していたり、タンクの中に温度の制御部分が入れてあったりして冷蔵庫のようになっている。見学したワイナリーではタンクの形が円筒形ではなく円錐形になっている。これは葡萄の実と皮の部分が分離すると皮やタネの部分が上に浮いてくる。皮やタネの部分の渋みやコクを余すところなく引き出すために時々攪拌するために下から出したジュースを上から注ぐのだが、円錐形のタンクでは上に溜まった皮や身の部分が固まらずに崩れてくるので満遍なく葡萄全ての旨味をジュースに染み込ませることになる。
タンクは円筒ではなく若干円錐形
2層構造で外側を冷媒が通っています
こちらは2件目、Rauzan Seglaのタンク
冷媒がタンクの外側を回るようになっています

シャトーによって使っているタンクや樽が違います。それぞれの考え方やそれ専用の業者もたくさんあると思われます。

- 樽 -
この行程が終わるとオークの樽に入れて熟成させる。この間にもおりを取り除いたり、攪拌したりする作業が入る。一日に一回は何らかの作業が入るとのこと。ものすごく手間がかかっている。だいたい18ヶ月くらい樽の中で熟成させるのだが、終盤におりや細かいゴミを取り除くために卵白を入れて吸収させて回収するそうだ。それが終わるとブレンドをして瓶詰めする。
2013年の樽
葡萄の収穫された畑、樽の業者によってきっちりと別々の樽に管理されています。側面に樽の生産者、内側の焼き加減、葡萄が採れた区画などがメモされています。

この樽、高級シャトーでは一回切り、もしくは3年までしか使わない。樽から醸し出される渋み、味の深みもとても重要で、樽の生産者にもかなりの腕の見せ所がある。高級シャトーでが使い切った樽は中古として下位のワイナリーに下取りされるそうだ。
説明してくれた方によると、この樽は買う、という表現ではなく、投資だ、と言っていたのでこの樽は結構な金額になるようだ。

樽にはオークの産地、育て方などの他に、樽にした後に内側の焼き具合いでオークの香りを引き出したりするので、同じオークでも何種類もの樽が作られる。焼き具合によってチョコレートのような味や香ばしい香りを出すことができる。そして、ワイナリーでは葡萄の種類、樽の種類ごとにきっちりと管理されて熟成が行われる。そして18ヶ月前後の熟成を経たそれぞれのワインをブレンドすることでワインを瓶詰めする。
Rauzan Seglaの樽
こちらは特別な樽で触ってみると外側の肌触りが全然違います。葡萄の出来具合から最も良い物をこの特別な樽に入れて熟成しているそうです。


こちらは2012年の樽

樽の縁にある少し茶色の濃い部分。これはチェスナッツ、だからドングリの木だそうで、今ではあまり必要は無いが、昔は樽を置いていたところに虫が入って樽を食べてしまう事があったので、これを巻いておく事で虫が最初にここに付くようにしているそうです。ドングリの木の方が美味しいらしい。

- ブレンド -
ボルドーでは単一の葡萄ではなく2種類以上の葡萄をブレンドする。カベルネソービニオンが7割くらい、メルローが2割くらい。あとはワイナリーによって数種類の葡萄がブレンドされる。これはワイナリーごとの企業秘密のようなものではなく、その年によって各葡萄の出来具合を元にワイナリーの責任者によって割合が決められることになる。日本酒でいうところの杜氏一人で決めるわけではなく、責任者数人の意見で決めるそうだ。
この割合がワイナリーの腕の見せ所の一つでもあるのでここは大変重要なところのようだ。今回ガイドをしてくださった方の説明ではワイン作りはある意味農業。葡萄を作るまでの手間がものすごく重要で、とても美味しい葡萄ができればある意味そのあとは大概美味しいワインができる、ということだったのだが、この話を聞くとこのブレンドこそがボルドーワイナリーの最終的な味を左右しているとも言える。葡萄の木を育てるところから収穫後の各工程、ブレンドまでものすごくたくさんの手間がかかっている。
ワイン一本は数ユーロから無限大までものすごい値段の幅があるものだが、数ユーロのワインにもものすごくたくさんの手間がかかっていることがわかった。お米という漢字の意味と同じくらいワインというお酒を作るまでの奥深さが分かりました。

もちろん、瓶詰めの後はさらに熟成が行われる。この後の熟成の行方を想像しながらブレンドしたりするのであろう。奥が深すぎる。。また瓶詰め後、コルクがわずかな空気を通すのでこの空気と、ワインが呼吸しながら熟成が進むことになる。

- テイスティング -
見学させていただいたワイナリーでは最後にテイスティングもさせていただきました。一本何十ユーロのワインを飲む機会はそうそうなく、味を確認したら吐き出してもいいようになっていたのですが、もちろんじっくりと味合わせて頂きました。
Leoville Poyferreのテイスティングルーム
左側の壁には試飲された方のコメントなど
もったいなくて吐き出せません

Rauzan Seglaにあった昔の試飲用の道具入れ
真ん中上にあるのが吐き出すところで、それぞれの引き出しにはいろいろな試飲に使う道具が入っていたそうです。今は展示用として置いてありました。

中の見学と試飲をさせていただいたシャトー
1件目 Leoville Poyferre
2件目 Rauzan Segla


- 有名シャトー -
Chateau-Margaux
シャトーを背にして見たポプラ並木
ポプラ並木の入り口からシャトーを見た図柄は結構有名。シャトーの建物がラベルにもなっています。残念ながら工事していてちょっと見栄えが悪かったので、並木を入ったところで振り返って撮りました。
この他にもたくさんのシャトーを外から見て回りました。


ボルドーの凄さに感動しきったワイナリー巡りとなりました。

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